100年骨、アニサキス、健康第一
7月に、私の出身である、東京慈恵会医科大学整形外科学講座の斎藤充教授が書かれた、「100年骨」を買って読みました。斎藤先生のご専門は骨粗鬆症で、普段そのお口から直接で教えて頂いていた内容だったこともあり、とても理解しやすい本だと感じました。「日本人の98%はビタミンD不足」「骨粗鬆症健診の受診率はたった5%」などの内容から、骨粗鬆症治療が十分に普及していない現状を再認識しました。「100年骨」読んでいる最中、80代の腰・大腿骨骨折ではなく、60代の手首の骨折も防ぐことこそが、理想の骨粗鬆症の治療なのではないかと強く感じました。
そんなこともあり、当院を受診された患者さんで、45歳以上の方には、骨密度測定を進めています。一回1500円かかりますが、骨折した時にかかる時間のロス・費用は膨大です。手首を折り、クリニックから総合病院に紹介されると手術前まで2日とられ、痛いまま入院まで1週間くらい待ち、入院自体も3泊4日くらいになります。費用はもしかしたら生命保険から全額出るかもしれませんが、最低2週間まともに仕事をできないと考えると、最低でも10-20万円の損になるのではないでしょうか。単純に比較すると、安いと思います。ちなみに、江戸川区で無料でできる健診は、かかとの骨で測る超音波法といって、体重・運動の影響を強く受けるので、検査部位としては不適格です。あれの目的は、健診率があまりにも低いので、少しでも上げるためでしかありませんので、「かかとの骨密度は大丈夫」な方も安心してはいけません。さて、骨密度測定をされた方には、「釈迦に説法」にならない範囲で、①睡眠・食事・運動に気を遣うこと、②ビタミンDを摂取することをお勧めしています。「ビタミンDと取るには何を食べたらよいですか」と聞かれるので、食事から摂取することの限界をお話ししたうえで、「魚の油・卵、キノコ、チーズ、牛乳」と答えています。最近は、一日に5回は魚のことを口にしていたのではないでしょうか。
8月24日(日)、午前中に草ラグビーの練習を終え、昼にスーパーに行きました。脂がのったイワシの刺身がおいしそうに並んでいます。14時ころに平らげ、夜は長女の2歳の誕生祝いをして、寝ました。8月25日(月)3時ころ、腹痛で目が覚めました。7時まで全くおさまりません。私は、「アニサキス」に違いないと感じました。当然医師国家試験に消化器や寄生虫の問題は出るので知識として知っていましたし、同じ症状は人生で2回目なのです。一瞬、予約してくださった患者さんを診れないのではないかと不安になりましたが、妻に職場まで送ってもらい、看護師さんに手配してもらった胃袋に効く麻酔薬を飲んで、何とか午前中は診療できました。受付さん、放射線技師さんに胃カメラをやってくれるクリニックを探してもらい、昼休みに伺いました。やさしい院長と、やさしいスタッフさんにいたわられながら胃カメラを受けると、胃には3か所アニサキスが突き刺さった穴がありましたが、アニサキスは既に私の胃袋に撃退されていました。
今回、たくさんの方にやさしくしていただいた経験から、自分はいろいろな人に支えられているから、今後困難にぶつかっても、何とかなるなと心強くなりました。そして、自分もつらい気持ちの人にはやさしくあらねばと強く感じました。開院当初に抱いた、「怖い思い、つらい思いをさせない」という気持ちも新たになりました。今私は34歳ですが、75歳まで仕事がしたいです。40年間やさしくあり続けられるよう、健康に気を遣い、生魚を食べる際には小さな寄生虫がいないかチェックしたいと思います。
院長 木佐森和樹